書物蔵

古本オモシロガリズムーー古本マニアの日々是趣味の人

待合読書の一種?ーラーメン屋読書

キングビスケット先生が、わちきがいつも疑問に思っていながら、手をだしかねている事柄について、問題提起をしておられた。

ラーメン屋における週刊誌・マンガ週刊誌の読書である。
ラーメン屋読書とでもいうのだろうか、当時の呼び名はなかった気がする。現象として広く日本人にあっても、現象名の同時代名称がないということも、ままあるうちの一つ。わちきは、床屋や銀行での読書を合わせて「待合読書」と呼びたいところだけれど、ラーメン読書はある種の「なになにしながら」の読書なので、「ながら読書」というべきか。
それはともかく、先生の問題提起に対して、1970年代にはすでにあったとする証言がちらほら。

文献では1960年代まで遡れそうである。

さすが先生はこれをうけ、日本に特有とされる(少なくとも欧米にはこれがないに近いらしい)ひとり飯の起源へつなげている。

king-biscuit
@kingbiscuitSIU
返信先:
@Yta8Ntion1FKvR0
さん
「一人で喰う」ことへの退屈なり淋しさなりは、おそらく食事には「給仕」がつくのがあたりまえだった習慣(酒席の「酌」なども)から何となく違和感があった段階を経て、という気がします。

もちろん答えは半分でていて、というか手かがりとして読む対象、つまり「週刊誌」の成立がある。現在の意味での「シューカンシ」は昭和20年代末、あとはマンガ週刊誌の成立が上限になるかしら。もちろん、ラーメン屋でのひとり飯、とのからみも。

子規全集: 小說・紀行 - 47 ページ
https://books.google.co.jp › books
正岡子規 - スニペット表示 - 他の版
... 西洋仕立の美本は玻壊の中へ這入つて金字がぴかくして光つて居る有様ですから肩書なしで一人りきんで見て慇始まらない謹だ面より肩書などを奪敬する菊は無い寧ろ軽菎したいと は思つて居るけれど書生が博士を軽. 7 4 2 堂世嬢鏡.

「ボール表紙本」という語の初出は?

「ボール表紙本」という語の初出は?
森さんに教えられた次を読むと。

  • 鈴木 徳三「明治期における「ボ-ル表紙本」の刊行」『大妻女子大学紀要 文系』(24), p1-4,図3p, 1992-03

ボール表紙本の呼称、並びに定義に関する記述は、筆者の管見する限り見当たらなかった。それと言うのも、これらの造本は、単に厚手の板紙を表紙に用いたに過ぎず、余りにも安易な洋装本の模倣であって格別の注釈や解説を必要とせず、

とある。
次の事例から、大正末に明治文学の回顧記事で説明的に、「ボール表紙」という言葉が使われ、それが古書店明治文化研究会などで「ボール表紙本」という複合語になったようである。
同時代にこの言葉はこの様式の図書に使われてはいないようである。
渡辺太郎は「ボール本」というさらなる縮約形で伝える。

事例:辞典項目

ボールぼん(ーー本) ボール表紙に石版画を貼つた明治新作物や翻訳小説。兎屋本もそれ。(コマ70)

書物語辞典 - 国立国会図書館デジタルコレクション

鈴木徳三も同じ取りこぼしをしているが、『書物語辞典』は近代書誌学の用語集として使える。

事例:記事論題レベル

記事レベルだとざっさくプラスで。

図版 出版ポスター(話の種、怖るべき子供たち)、国際問題を扱ったボール表紙本
無記名
昭和7年7月1日,書物展望,第2巻第7号

明治のボール表紙本時代
石井研堂
昭和16年8月1日,書物展望,第11巻第8号

国会図書館デジタルコレクション 煙皿 明治のボール表紙本時代
石井硏堂
1941,書物展望, 11(8)(122)

この次は鈴木(1992)になってしまう。

事例:本文レベル

最後に頼るグーグルブックスで、なるべく古くまでたどらんと「本」を外して「ボール表紙」で探すと、1927年の本が見つかる。
https://books.google.co.jp/books?id=USpHp3GKPVIC&pg=PP63&dq=%E2%80%9D%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E2%80%9D&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwj39dGyq5PmAhUryIsBHbD-A2c4RhDoAQhGMAU#v=onepage&q=%E2%80%9D%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E2%80%9D&f=false
明治小説の起源について、新聞の続きものがそうだとしつつ

此の体裁の小説本は四五年間は継続し之を明治式合巻と称へる人もあるやうだが、これが後には石版画ボール表紙の西洋綴りとなり、三変四変して博文館や春陽堂から出版する菊判やまと綴の小説本となつたのである。(p.41)

あと、荒木伊兵衛「日本英語学書志」創元社, 1931 が書誌記述に使っている。

検索結果1-3 / 10
392 ページ
英寧教授本(槍入)一冊岩井忠想編明治十九年( 1886 )東京盆楽堂務免紙・和装・木版
刷(縦一八・五輝横一二・五輝)十三葉。km英語通排一冊設楽勝美編明治十九年( 1ss )
東京井上勝五郎版洋紙・洋装・ボール表紙・銅版(縦一二・六輝横九輝)八十頁。英學早
...
394 ページ
洋紙 に作文、文法、譚文例、用字 394 洋紙・ボール表紙・活版刷(縦一五・三輝横九・八
編)八十八貢。 The Royal Readers No.1・Tokyo & Osaka・183 %ローャル第一譲本
km)一冊明治十九年( 1886 )東京六合館刊洋紙・ボール表紙・活版刷(縦一七・八輝横 ...
395 ページ
荒木伊兵衛 395 本書は明治三年版を合本して再版せしもの。洋紙・ボール表紙・木版
刷(縦一八・六極横一二・五編)百四十九葉。劉格賢勃斯英文典直譚(シ明治十九年(
1886 )東京欧文書館蔵版劉kmほトル園案内"一#明治十九年(。シ洋紙・ボール表紙・
活版 ...

https://books.google.co.jp/books?id=FP8DAQAAIAAJ&q=%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E6%9C%AC&dq=%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E6%9C%AC&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjuueGUwJPmAhVvxosBHUPVB2s4bhDoAQhGMAU

12/3追記

古本蘊蓄 - 142 ページ
https://books.google.co.jp › books
八木福次郎 - 2007 - スニペット表示 - 他の版
古典社の『書物語辞典』(昭和十一年)には「ボール本」ー「ボール表紙に石版画を貼った明治新作物や翻訳小説。鬼屋本もそれ」とか、植村長三郎の『図書・図書館事典』(昭和二十六年)には「板紙表紙」ー「教科書の装釘又は法帖類の表紙等安価な図書の表紙に ...

掘り出し物は構築主義で

昨日、かような本を買った

のちに三一新書に入ったものらしいが、99名による読書遍歴からこの1冊を推薦する、というエッセー集。
ただ本を紹介するだけでなく、高校生向きに人生訓っぽく進める、という雑味があるせいで、本の説明に終わってないところがよい。
買った時の経緯や読んだ際の心情などが語られており、わちきの研究する読書史に益するのであった。

【重要】『昭和前期蒐書家リスト』通販分の入手方法について(おしらせ)

次の同人誌の通信販売分の入手方法について、頒布者さんからのお知らせです。
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トム・リバーフィールド編、書物蔵監修・解説
『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』
(トム・リバーフィールド、2019年11月)1,650円

先日の文学フリマでほぼ売り尽くしてしまったので今回、一定部数重版いたします。
重版分は12月26日以降に発送予定です。次のように申し込んでください。

委託先さまへの事前予約について

・購入したい方は、委託先「金沢文圃閣」さんに次のサイトから直接メールなどで連絡してください。
https://kanazawa-bumpo-kaku.jimdo.com/%E3%81%8A%E5%95%8F%E5%90%88%E3%81%9B-%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%82%B0%E8%AB%8B%E6%B1%82/
・メールなどには郵便番号・住所・氏名・電話番号、『昭和前期蒐書家リスト』購入希望部数、などを明示してください。
・1部1500+消費税円で、1,650円となります。【送料別】
・お一人さま3部以下まで受け付けます。

受付後、どうなるか

・12月24日に前払い入金先ご案内メールが金沢文圃閣さんよりきます。
・重版分が編者兼頒布者(リバーフィールドさん)から金沢文圃閣さんに届けられるその印刷スケジュールにもよりますが、入金された方には順次12月26日すぎから発送作業に入るとのことです。年末進行で多忙中な印刷所に重版をお願いしております。予期せぬことなどでスケジュールが遅延いたすこともあるかもしれません。

ご参考

・事前予約で重版分に余部が生じた場合のみ、12月26日以降にサイト「日本の古本屋」に本書の販売データが委託先の出品として掲載されますので、それを通じてご購入いただくことができるようになるはずです。
・「日本の古本屋」メルマガ12月25日号に本書の自著紹介記事が載ります。そこでメルマガ読者様のうち抽選で5名に本書が送られることになっています。

ご留意いただきたいこと

・同人誌という発行形態ゆえご迷惑をおかけいたしますが、ご容赦くださいませ。
 
 よろしくお願いいたします。
                  トム・リバーフィールド

(書物蔵謹白)

言わずもがなのことですが、本書は同人誌であります。全ては編者、頒布者さんの篤志によるものなので、よろしくご勘案ください。また書物蔵は本書に関する経済的利害とも無関係であります。

ブックカバーはひと目が気になるから

紀田先生のことが気になってツイッタを検索したら、読書史上でオモシロなことがヒット。

カバーをかけるのはやり、何を読んでいるのか他人に知られないように、ということ。
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また、クライムノベル雑誌が、エロ本と隣接して置かれていたということ。
当時」とは「カストリ雑誌」が出ていることから、昭和20年代、30年代のことだろう。「制服制帽姿で買うには」とあるのは、紀田さんご本人が高校生くらい、ということか。もしかしたら大学生時代かもしれない。
カバーは、もしかしたら「先輩の鬼たち」の手製かもしれないが、書店ブックカバーである可能性もある。雑誌は図書と違って、書店員はカバーをかけない慣習があったように私は記憶するが、たのめばもちろんカバーをかけてくれたろう。