友人らは行かなくなっちゃったので、ひとりで行く。
今回、オリンピックの影響とかでいつも三日間のところ四日間で開催。いつもどおりお昼過ぎに行ったが、あとでネットで知ったところ、午前中の入場の際、めずらしく混乱が生じ、熱中症が何人も出たとか。来年のオリンピックでは死者が出るだろうなあと予想。
会場ではほとんど拾えず。というのも、人気のあるところは品切ればかり。結論からいうと、ちょっと有名どころで欲しいものがあれば、とらのあなかメロンブックスで購入すべき、ということ。コミケットに実際に行く意味があるとすれば、やはり図書館情報学にいう未知文献を探索に行く場合に限ると再認識す。
ツイッターを見てるとtarimo99さんが行ったようなので、いろいろ話が聞きたいなと、夜に呼び出す。コンテンツの話はあまりせず、むしろ、同人誌即売会の全国情勢であるとか、地方都市の同人誌販売状況などという、どこにも総括されていない話が聞けて、書物史的な楽しさがあった(^-^)
サンパル古書の街の思い出なんかも聞いた。
彼は地方図書館探訪も含め本当に精力的にいろいろ見て回っているからなぁ。一年に一度はお会いして話を聞きたいと思ったことだった。
貸本屋が出てくる川柳
沓掛「貸本屋考」から
貸本屋無筆に貸すも持つてゐる(明和)
貸本屋名を見せたか胴突かれ(〃)
筆者註(多分ワイ本ならん)
貸本屋おとし咄をして戻り(〃)
はなしやれと四五冊匿す貸本屋(〃)
(禁止本か)
この本は屋敷おもだと貸本屋(〃)
好きな乳母本屋を叱り叱り見る(安永)
貸本屋げだいばかりの学者なり(〃)
貸本屋密書三冊持つて来る(天明)
筆豆な得意に困る貸本屋(天明)
(筆豆な客は落書する)
貸本屋しよはずに廻る二十日過ぎ(〃)
(掛取り)
貸本屋唐と日本をしよつて来る(文化)
清少納言おん筆と貸本屋(〃)
(枕草子)にもいろいろある)
オヤ馬鹿らしいと本屋へぶつつける(〃)
(娘にワイ本でも見せたか)
今日は又夢をしよひ出す貸本屋(文政)
騒動を背負つて廻る貸本屋(天保)
(加賀騒動、伊達騒動など稗史類)
うかり来て本屋敷居にけつまづき(〃)
貸本屋これはおよしと下へ入れ(不詳)
貸本屋くりびきにする三国史(〃)
(くりびきとは陣法の術語で軍勢をつぎつぎに引き揚げること。貸本屋が多篇の本を一篇と二篇、三篇と四篇と順次旧いものを新しいものに取換えて行く様を陣法の「くりびき」になぞらえた。
貸本屋見せない本を持つて帰り(〃)
二三冊先ず取り除けて貸本屋(〃)
貸本屋人のひまをば付ねらひ(明治)
貸本屋小説鉛筆で批評する(〃)
公文(布達)の印刷が明治初期出版社を育成した?
この前、某先生と飲んでいたら、明治初期の出版社発展には、教科書だけでなく、布達の印刷が重要だったのでは、という話になった。
それって誰か研究してますかね?
いや、知らんなぁ。けど、佐賀県の例では700部刷ったという史料を見たよ。明治初期の官令は毎日のように出たから、ほぼ毎日の新聞みたいなもの。
いまネットでググると次のHPが良いみたい。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/01soumu/archives/0716kouhou_kf.htm
あと、「法令の周知方法」のことを「公文式」というらしい。
これによると次の段階で発展。
1.掲示と回覧時代(明治初期)
2.掲示と新聞紙登載併用時代(明治13年11月15日~同16年6月末日)
3.掲示と官報本紙登載併用時代(明治16年7月~同18年12月)
4.官報本紙登載時代(明治19、20年)
5.官報附録・警視庁公文、東京府公文時代(明治21年)
6.官報附録・警視庁東京府公報時代(明治22年1月~同27年3月)
7.官報本紙登載・警視庁公文、東京府公文時代(明治27年4月~同30年3月)
8.新聞紙附録・警視庁公文、東京府公文時代(明治30年4月~同31年9月)
9.直営による警視庁東京府公報時代(明治31年10月~昭和18年6月)
これを出版史に読み替えると。
明治5(1872)年8月7日 法令を活版刷りで町々に配布、それを回覧させる
明治13(1880)年9月13日 摺物回覧をやめ、日刊新聞(東京日日、読売)へ
「新聞紙中に「東京府公布」の一欄(後に「官令」欄と改)を設け、国(官省使府)の布告布達及び東京府の布達を掲載」を新聞社へ指令
警視庁(当時は東京警視本署)も同日から同様に
明治13(1883)年7月1日官報から、警視庁と東京府の布達類はこちらへも
明治19(1886)年1月以降は区町村内への掲示をやめる
といったところ。
東京府は先進的な例だろうし、新聞社が例外的にたくさんあった東京市ならではということだろう。
明治5年「触出地制度の導入と同時に、銀座2丁目にあった日報社(東京日日新聞発行所)に回覧用の布告類を傍訓(フリガナ)付きで印刷することを請け負わせ」たという、民間に法令を印刷させる、というのは、新聞社の少ない地方では出版の育成になったんではないか、という仮説がなりたつなぁ。むしろ明治初期地方印刷史になるのかしら。
同人誌のスキャンレーション・サイトの閉鎖から同人誌アーカイブを考えるーー著作権厨でない観点から
今までネット情報源のマンガ関係を紹介する時に、
The Doujinshi & Manga Lexicon
がなぜ良いのか説明するのに「スキャンレーション・サイトでない、純粋な書誌データベースだから」と言ってきた。
スキャンレーションは海外マンガファンのサイト
スキャンレーションは、商業マンガにおいてはわりと明確に違法で話題にならなくありつつあるが。
ja.wikipedia.org
非営利マンガ、というかマンガ同人誌について海外ファンは、ほぼ違法とされるスキャンレーション・サイトでないと見ることができないわけである。そもそもエロパロ系だと日本より検閲が厳しい(例えば大陸中国)だと、税関没収されるらしいし。
ex-hentaiで達成されていたもの
で、今回TLに流れてきたのが同人誌スキャンレーションサイトの雄、ex-hentaiの閉鎖情報。
TLに流れてきたんだけど、e-hentaiが終了するらしい。
— ねむリン(ˊᗜˋ*)☆ (@doraimeron) July 26, 2019
造り手としては朗報なんだけど、
昔同人やってた時に少部数しか刷らなかった同人なんかもなぜか丸上げされていたので、それがもう人の目に触れなくなるんだなぁと思うと、過去の恥部を晒さなくて良くなるんだと安心すると同時にちょっと悲しい。
実際に昨日閉鎖になったのはex-hentai のほうで、姉妹サイトのe-hentaiではないということだが、姉妹サイトのe-hentaiもしばらくしたら閉鎖になるという。閉鎖の理由は法的なものでなく運営者の都合であるらしい。
わちきは趣味人だから「著作権厨」の立場を取らんので、これからなくなるスキャンレーション・サイトの
アーカイブ機能について上記の人が、とてもよい指摘をしていたのが気になるのであった。
以前から思っていたんだけど、無料マンガ図書館の同人誌版を作るべきだと思うんだ。
大昔に刊行してもう今更売らないような同人を作者からアップデートしてもらってさ。読みたいファンは絶対にいるはずだし、作者としても昔の拙作が人の目に触れる恥ずかしさとは別に、喜びは確かにある。
同人誌現物のコレクションは米沢記念がダーク・アーカイブとして大量に持っているが、それにアクセスできるようになったとしても(日本の)首都圏だけでしかない。
令和の現在、文芸同人誌のコレクションが文学館などに片鱗が残るだけになっていることを考えると、網羅的に残して網羅的にデジ化する、といった同人誌デジタルライブラリーが必要(´・ω・)ノ
Ex-hentaiなどは、実はそれを予め(違法な形で)やっていた、と歴史的には言えるのであった(σ・∀・)